日本人の親切さとは｜大学入試小論文ネタ

日本人は「親切な国民」と称されることが多い。電車で席を譲る、落とし物を届ける、道案内をする——こうした行動は、日本社会において珍しくない。しかし一方で、見知らぬ人に対してさりげなく親切にすることに戸惑いを感じる場面も少なくないのではないだろうか。

その背景には、「内」と「外」を区別する文化が影響していると考えられる。家族や友人などの「内」の人には自然と手を差し伸べる一方で、「外」の人とは距離を置きがちになる。その結果、困っている人を見かけても声をかけるのをためらい、また親切を受ける側も遠慮してしまう傾向がある。

では、日本人がより自然に親切を実践し、また受け入れるためにはどうすればよいのか。本記事では、日本人の親切の特徴を考察し、その課題と向き合う方法について探っていきたい。

【ネタ】無意識の壁を乗り越え自然な親切を育むために

日本人は、無意識のうちに身についた習慣によって、困っている人に対してさりげなく速やかに親切にすることが苦手である。その背景には、「内」と「外」の意識が深く根付いている。家族や知人を「内」とし、それ以外の人々を「外」として区別することで、自然な関わりが生まれにくくなっているのだ。その結果、見知らぬ人への親切がためらわれるだけでなく、「外」と判断した人からの親切を素直に受け取ることにも抵抗を感じてしまう。では、どうすればより自然に親切を実践できるのだろうか。

一つの方法として、「困っている人を見過ごさない」と意識することが挙げられる。例えば、電車内で立っている高齢者や妊婦を見かけたとき、彼らの表情が安堵の色に変わる光景を想像してみる。それだけでなく、実際に行動に移せば、自分自身の心も温かくなるのを感じられるだろう。

また、親切を受け取る側の姿勢も重要だ。以前、私は電車の優先席で眠っていた男子学生に席を譲られそうになったことがある。そのとき、「大丈夫」と断ってしまったが、後日この話を友人にすると、「彼は勇気を振り絞って親切を実践したのだから、『ありがとう』と感謝して席に座ることが、彼の優しさを育てることにつながる」と教えられた。この経験から、親切とは、する側だけでなく、受け取る側の姿勢にも意味があるのだと気づかされた。

かつて、オリンピック招致の際に世界へ発信された「おもてなし」。それは単なるスローガンではなく、日常の「親切」とつながるものである。思いやりと感謝の気持ちが自然に行き交う社会を築くためには、「内」と「外」の壁を意識的に乗り越え、親切を当たり前のものとして育んでいくことが大切なのではないだろうか。